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景観(番外編)
2023-04-30
 都会には自然が残されていないイメージがありますが、東京には広大な公園、庭園があり、自然を大切にしているのがわかります。むしろ田舎の方がすぐそばに山などがあり、樹木が多い公園が少ないかもしれません。しかし、東京で、明治神宮外苑の再開発のため約1,000本もの木々を伐採しようとしています。しかも先人が明治天皇を記念すべく寄付と献木によって造営されたという歴史的背景を重んじず、樹齢100年級の巨木が切られるとなると、東京都だけの問題とは思えず、個人的に悲しくなります。その上、水と緑の調和が美しい葛西臨海公園の樹木も水族館建て替えと太陽光パネル設置のため大量伐採されるそうです。
 米国の景観設計者フレデリック・ロー・オルムステッドは19世紀にニューヨークのセントラルパーク、カナダのナイアガラの滝の整備、カリフォルニアのヨセミテ国立公園を手掛けました。また、ボストン市にエメラルドネックレスのように連続する緑地帯を整備しました。水質改善、治水、健康増進が図られる設計となっています。オムステッドの公園は、ヨーロッパの宮殿の公園のように整然とした並木や花壇の植栽ではなく、自然景観を再現する公園であることが特徴的であるようです。両岸が石積みで整備された直線の水路ではなく自然な曲線の水路、芝生のある丘陵ではなく地層の露出した岩山、整備された並木ではなく雑木の森林のような風景がアメリカの人々の嗜好に合致したようです。
地下水も含め、水質浄化メカニズムの上でも多様な生態系を自然な形で守ろうとされたのだと思います。植生河岸とコンクリート河岸を比較すると、水質の浄化だけでなく、植生河岸では流速が緩やかであるため、遊泳力の弱い稚仔魚にとっては生息しやすい環境となるようです。コンクリート河岸にはそのような領域がないため、稚仔魚がほとんどいないという実験結果もあります。
 時間をかけたものを破壊するのは一瞬ですが、再現するには時間がかかります。また、認識している植物だけではなく、多様な生物の中で人間も共存しているということを改めて意識しました。(し)
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