昨年の2月18日の愛媛新聞に「露西亜小児輸送記」（岡山県浅口市金光図書館ホームページで閲覧可能）の英語版が出版されたとの記事がありました。松山市出身の勝田銀次郎氏（神戸で海運会社設立 、元衆議院議員、元神戸市長）がロシア革命による難民を救出したお話です。ロシア革命の混乱から逃れ、行き場を失った4歳～18歳の子ども779人と女性87人、戦争捕虜のドイツ人兵士ら77人を米赤十字社が保護し、極東のウラジオストクに留め置いていたそうです。赤十字社が彼らの帰還への協力を各国に募ったものの、応じたのは勝田氏だけだったとのこと。勝田氏は巨額を投じて自社の貨物船 陽明丸を客船に改造。約2万4千キロの航海は約3か月を要し、病気や事故で2人を亡くしたものの、子どもらは最後は陸路でペトログラードにたどりついたとのこと。国家間で様々な難しい事情があったとはいえ、世界にははるかにお金持ちの人が大勢いたはずですが、応じたのが勝田氏だけというのにも驚きました。惻隠（そくいん）の心のある素晴らしい方が日本人であり、さらに愛媛県出身であることを誇りに思いました。勝田氏は陽明丸以外にも、大戦後の捕虜帰還に自社の船を派遣したそうです。こういったことを学校で習い、話し合う場ができたらと思います。（し）

追記

愛媛県松山市教育委員会が編集・発行している書籍『ふるさと松山学 語り継ぎたい ふるさと松山100話 広がれ！ふるさと松山の心』にも勝田氏の難民救助の話を掲載しているそうです。動画（松山市ホームページより）（し）